上越教育大学社会科教育学会 第32回研究大会
【シンポジウム】
戸井田克己著『青潮文化論の地理教育学的研究』ができるまで
~「社会科的にものを考える」とは
どういうことなのだろうか?~
どういうことなのだろうか?~
第一部<基調講演> 戸井田 克己 氏 (近畿大学教職教育部 教授)
~プロフィール~
東京都生まれ。都立高校教諭を経て現職。都立高校教諭時代の1989年4月から1991年3月の間,上越教育大学に内地留学。地理教育カリキュラムとその指導法をおもな研究対象とする一方,環境民俗学,特に青潮文化論に関する調査研究をすすめている。『高校生の地理A』(帝国書院,平成29年文部科学省検定済),『新詳地理B』(帝国書院,平成28年文部科学省検定済)等,高校地理教科書の執筆に携わる。『青潮文化論の地理教育学的研究』(古今書院,2016年),『日本の内なる国際化―日系ニューカマーとわたしたち―』(古今書院,2005年)等,著書論文多数。
第二部<パネルディスカッション>
『青潮文化論の地理教育学的研究』の成立過程をめぐって
戸井田 克己
氏
根津 裕 氏
(上越教育大学大学院学校教育研究科 修士課程 社会系教育実践コース)
(上越教育大学大学院学校教育研究科 修士課程 社会系教育実践コース)
福永 和輝 氏
(上越教育大学大学院学校教育研究科 修士課程 社会系教育実践コース)
(上越教育大学大学院学校教育研究科 修士課程 社会系教育実践コース)
星野 智大
氏
(上越教育大学大学院学校教育研究科 修士課程 社会系教育実践コース)
(上越教育大学大学院学校教育研究科 修士課程 社会系教育実践コース)
森山 和貴
氏
(上越教育大学大学院学校教育研究科 修士課程 社会系教育実践コース)
(上越教育大学大学院学校教育研究科 修士課程 社会系教育実践コース)
シンポジウム企画にあたって
本シンポジウムでは,本学大学院社会系コース(当時)修士課程で学んだ経験をもつ戸井田氏の主著の一つ,『青潮文化論の地理教育学的研究』を具体的な素材として,その成立にいたる調査や研究過程に注目し,著者自身による基調講演をふまえた本学大学院生との討議によって,戸井田氏が「社会科的なものの考え方」を一つの学術書というかたちでどのように結晶化させていったのか,浮かび上がらせることを試みたい。
戸井田氏からは,自著の成立過程について,調査における困難,それを解決しようとすることから得られたもの,あるいは様々な協力関係の大切さ等,具体的な体験談を聴くことができるだろうし,研究を通じて熟成されていく自らの学問的成長のために大切なものはなんであったのか,著者ならではのリアルで豊かな話をうかがうことができるだろう。また,パネルディスカッションに参加する現役の大学院生諸氏たちの,自身が直面している修士論文作成上の―それこそリアルな―苦悩が交錯することにもなるのかもしれない。本シンポジウムは,単に民俗学や地理教育学に対する関心を高めるだけにとどまるものではない。学問研究の面白さや意義深さにあらためて触れ,「社会科的にものを考える」ことについて,あるいは,それを身につける機会としての修士論文の作成について,参加者それぞれが思いをめぐらせる場になるはずである。
戸井田氏は,1996年に近畿大学着任後,2001年には民俗学の研究機関に所属,異文化共生を目的に,日本の内なる国際化をテーマとして考え続けながら,教育手法としての郷土カルタの利用やフィールド・ワークの指導,地図の見方・考え方などの研究をすすめていた。こうしたなかで『青潮文化論の地理教育学的研究』を刊行する大きな転機となったのは,同書「あとがき」によれば2004年のこと,所属する民俗学研究機関での調査地として長崎県五島列島に決まり,その調査の成果を報告書「青潮の民俗—五島列島・福江島の生業と生活—」(『民俗文化』第17号,2005年)にまとめる経験だった。それ以後10年近くを費やして,青潮文化を巡る調査を持続的にすすめたのだという。
その成果である『青潮文化論の地理教育学的研究』の具体的内容については,参加者各自であらかじめ読んでいただくことをおねがいしたいが,最後に同書の射程や理解をふかめる戸井田氏の二つの関連論考を紹介することにしたい。一つは同書と同年の発表になる「肥薩国境・焼酎街道をゆく」(『渾沌』第13号,2016年)。『青潮文化論の地理教育学的研究』第2章に関連して,下甑島の青潮岳や「青潮」という銘柄の焼酎を取り上げ,青潮の対馬暖流の愛称としての可能性についても追究している。青潮文化としての隠岐の牧畑の萌芽から牧畑の衰退・消滅をまとめた第4章に関連しては,「ジオパーク活動を通じた「島おこし」の取り組み-隠岐・西ノ島町の場合-」(『渾沌』第12号,2015年)。ジオパーク活動を通じた「島おこし」としての牧畑保存の取り組みが記され,限界集落の崩壊ともいえる離島の問題から,持続可能な社会と経済を育む手立てが論じられている。「先人の知恵」の再評価や,自然や人間の相互作用のあり方を論じる『青潮文化論の地理教育学的研究』終章にかかわってくる内容である。あわせて読んでおかれることをおすすめする。
参加各位の積極的な議論を期待したい。
日時:2017年10月21日(土) 15:00~17:00
会場:上越教育大学 学校教育実践研究センター
セミナー室1
・開会挨拶 茨木 智志
(上越教育大学大学院学校教育研究科社会系教育実践コース 教授)
・趣旨説明・全体進行 宮下 祐治
(上越教育大学大学院学校教育研究科修士課程社会系教育実践コース)
第一部 基調講演 (50分)
戸井田 克己(近畿大学教職教育部 教授)
第二部 パネルディスカッション(45分)
司会進行 宮下 祐治
パネリスト 戸井田 克己
根津 裕
(上越教育大学大学院学校教育研究科修士課程社会系教育実践コース)
福永 和輝
(上越教育大学大学院学校教育研究科修士課程社会系教育実践コース)
星野 智大
(上越教育大学大学院学校教育研究科修士課程社会系教育実践コース)
森山 和貴 (上越教育大学大学院学校教育研究科修士課程社会系教育実践コース)
・閉会挨拶 志村 喬
(上越教育大学大学院学校教育研究科社会系教育実践コース 教授) |